どうしてむくむと脚のサイズが変わるの?
足のむくみは誰にでも起こります。特に 夕方に足がむくんだ経験がある方はとても多いと思います。朝には余裕があった靴やブーツが夕方履こうとすると入らなかったり、靴下が食い込んで痕がついたり、夜買った靴が朝ブカブカになったりするのはよくあります。
こうしたむくみは、どうして起こるのでしょうか。
むくんだ時の身体の状態
むくみには水分が関係しています。その水分はどこから生じているのでしょうか。
人間の身体の70%は水分でできており、そのうち細胞の中に含まれている水分が3分の2を占め、残りの3分の1は血液や細胞と細胞の間に含まれる水分です。そして、むくみに関係しているのは、細胞と細胞の間の水分である「間質液」なのです。
間質液という言葉は聞いたことがなくても、リンパ液でしたら耳にしたことがある方が多いと思います。間質液は細胞と細胞の間に含まれる水分ですが、それがリンパ管に流れるとリンパ液と呼ばれます。ここでは、わかりやすいよう間質液をリンパ液と表記していきます。
大切なのはリンパ液の流れ
リンパ液は必要な栄養を全身に運ぶ役割を担っており、毛細血管から吸収されたり、リンパ管へ流れていくことで循環し、常に一定量を保っています。
ところが、ストレスや疲労、ホルモンバランスの崩れ、塩分が多いなどバランスを欠いた食生活、睡眠不足などによって血液の流れが滞ると、血液中の水分がどんどんリンパ液となってしまいます。
過剰なリンパ液はリンパ管へと上手く流れることができなくなり、水分だけでなく老廃物が細胞の間に溜ります。これが、むくみの正体です。
細胞と細胞の間に増えた水分が溜まって広がり、体積が増えてむくみとなり、サイズがおおきくなってしまうのです。
むくみやすい人、むくみにくい人の違い
足のむくみでお悩みが多いのは、ふくらはぎのむくみ、そしてむくみによる痒さ、だるさです。
そして、むくみには個人差があります。同じ環境で、同じように過ごしていても、むくむ方とむくまない方がいるのです。では、むくみやすいのは、どんなことが原因になっているのでしょうか。
むくみは静脈の異常を報せてくれるサイン?!
お母さんのおなかの中にいる赤ちゃんの様子を見る超音波エコーという検査があります。超音波エコー検査では、静脈を流れる血液の様子を見ることもできます。これで、むくみやすい方の足を検査すると、静脈で血液の逆流を起こしていることが珍しくありません。
こうした血液の逆流が起こるのは、静脈の中にあって逆流を防止する弁が壊れることが原因になっています。静脈は血液を心臓に戻すための血管であり、足は心臓よりかなり下に位置していますから、重力に逆らって血液を心臓に戻すためにはこの弁が正常に働くことが不可欠です。そしてこの弁は壊れてしまうと治すことはできないのです。
むくみを放置すると色素沈着や潰瘍、血栓性静脈炎の可能性も
静脈の弁が壊れて血液が逆流すると、血流が滞ります。
足の静脈の血液が血管内に溜まると、血管がボコボコとふくらはぎの皮膚に浮き出たり、クモの巣のような細い血管が肌に濃く浮き出る下肢静脈瘤という病気になる可能性があります。
下肢静脈瘤は良性疾患ですが、見た目での影響が特に大きいため、女性の場合スカートを着ることができなくなる方や温泉旅行などに行けなくなる方もいらっしゃいます。
下肢静脈瘤を放置していると、色素沈着を起こして足の皮膚が部分的に濃く黒ずんだり、潰瘍を起こしたり、出血や血栓性静脈炎を起こすこともあります。
長く続くむくみがあったら、まず検査を
足の静脈に血液の逆流が起きても、痛みなどの症状がないので気づかない方がほとんどですが、女性の場合40%以上の方の足に血液の逆流が起こっているとされています。
壊れてしまった弁を修復することはできませんが、逆流による血液の滞りを悪化させない治療、血液の流れを正常に行うための治療を受けることで、逆流による様々な症状を解消することができます。
むくみ自体は、悪化して病気になることはありませんが、しかしむくみの原因は血液の滞りであり、放っておくのはお身体にとって決してよいことではありません。まずは検査を受け、現在の状態をしっかりと把握することが重要です。
下肢静脈瘤は超音波エコーで検査を行います。胎児の状態を調べることができるほど安全性が高く、痛みなどの不快感が一切ない検査ですのでご安心ください。
この検査は保険診療で受けられますので、保険証をお持ちください。検査を受けるに当たって、特別な事前準備も不要です。気になる症状がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。