足のだるさ・むくみは、弾性ストッキングがお勧めです
足のだるさ、むくみなどの症状でお悩みの方は、医療用の弾性ストッキングがお勧めです。薬局などで販売されている圧迫ストッキングを使用されている方も多いかと思いますが、医療用の弾性ストッキングは市販のストッキングとは全く異なります。
病院で取り扱っている医療用のストッキングは、市販の圧迫ストッキングと比べて何が違うのでしょうか。
医療用弾性ストッキングと市販の圧迫ストッキングの違い
医療用の弾性ストッキングは、市販の圧迫ストッキングと比べて圧迫する力が高く、特別な編み方によって、足に安定した圧迫圧をかけることができます。特に、足首の圧迫が一番強くなっていて、太ももにかけて段階的に圧迫が弱くなるように設計されています。これは、下肢の静脈血やリンパ液を心臓へ流れやすくするための構造です。圧迫圧勾配は、足首10、ふくらはぎ7、太もも4となっています。
薬局などで販売されている市販の圧迫ストッキングは、医療用のものと比べて圧迫圧が低くなっていて、ご自身の足にぴったり合うサイズを見つけるのが難しいという欠点があります。
足が重い、足がだるい、足が痛い、足のむくみなどの下肢静脈瘤によるうっ血症状は、医療用弾性ストッキングを着用することで、症状を和らげることができます。また、下肢静脈瘤の硬化療法や血管内焼灼術(高周波やレーザー手術)を受けた後に使用することもできます。医療用弾性ストッキングはサイズも豊富なので、ご自身のサイズに合うものが見つかります。サイズが合わないものを使用していると、かえって症状を悪化させてしまうことがありますので、医師や看護師の指導の下、適切な医療用弾性ストッキングを選び着用するようにしましょう。静脈瘤がある方はもちろん、立ち仕事などで日常的に足のむくみやだるさにお悩みの方は、医療用弾性ストッキングがお勧めです。
弾性ストッキングのよくある質問
Q:こんなに締め付けが強くて大丈夫でしょうか?
A:弾性ストッキングは、サイズが小さいと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、正しく使用していれば問題ありません。サイズを測定して、足に合うものを購入していれば特に問題はありませんのでご安心ください。足のしびれや痛みなどの症状が出た場合は、履くのをやめて、医師または看護師に相談してください。
Q:圧迫がきつくて履けないので一つ大きいサイズに変えたいのですが
A:足の状態に応じて圧迫圧をきめているので、サイズ変更はなるべく避けた方がいいでしょう。どうしても圧迫圧が気になる方は、医師や看護師にご相談ください。
Q:ストッキングが足に食い込んで痛いです
A:ハイソックスタイプの形で、膝の裏にストッキングが食い込んでいるようでしたら、ストッキングタイプかパンストタイプに変えることで、食い込みも気にならなくなります。サイズが合っていない場合もあるので、痛みが気になる方は一度医師または看護師にご相談ください。
Q:ストッキングの圧迫が強くて履けません
A:履き方に関するビデオ(動画)もあるので、こちらを参考にしてください。動画をみてもうまく履けない時は、一度外来で履き方の指導を行います。
Q:足がかぶれてしまいました
A:ストッキングタイプの医療用弾性ストッキングは、シリコンのすべり止め部分によって皮膚炎やかぶれが起こることがあります。かゆみやかぶれなどの症状がでたら、ハイソックスタイプに切り替えることをお勧めします。また、ストッキングの種類によっては、かぶれを防止するチューブ帯が付いているものもあります。かぶれが軽度または中等度の場合、ステロイドの軟膏を患部に塗ることで改善します。かぶれがひどい時は、ストッキングの着用を中断する場合もあります。かぶれの症状がでたら、早めにご相談ください。
Q:暑くてストッキングをはくのがつらい
A:つま先無しの医療用弾性ストッキングは、他と比べて暑さをしのげます。つま先があるタイプで、ご自身でつま先を切って使用される方もいらっしゃいますが、圧迫圧が変わってしまい、ほつれの原因にもなるので、つま先無しタイプを選ぶようにしましょう。
医療用弾性ストッキングはほとんど化学繊維(ナイロン、ポリウレタンなど)によって編まれていますが、最近ではコットンの入った夏用のストッキングも販売されております。
Q:水虫があるのですが、大丈夫でしょうか。
A:つま先無しの医療用弾性ストッキングを使用するようにしましょう。
Q:ストッキングが伝線したらどうすればいいですか?
A:医療用弾性ストッキングは、伝線するとそこから圧迫圧が変わってしまいます。伝線したら、新しいものに交換する必要があります。購入の際に、同じものを2着購入しておくと、洗濯しながら交互に着用できるので長持ちします。
Q:寝ている時も履いた方がいいですか?
A:夜間(就寝中)は、原則ストッキングは脱いでいただきます。夜間に着用すると、かえって血流の循環悪化を招く恐れがあります。特に医師の指導などが無い場合、夜間の着用は控えましょう。
Q:ドラッグストアで売っているものでもいいですか?
A:薬局・ドラッグストアで販売されている圧迫ストッキングは、圧迫圧が弱いので、下肢静脈瘤の改善や手術後の使用に向かないものがあります。医療用は圧迫が強くてサイズも豊富です。ご自身に合ったストッキングを着用することをお勧めしています。
Q:足が悪いのに太ももまでストッキングで圧迫する必要があるのでしょうか?
A:足の付け根から逆流が起こっているので、ストッキングタイプで太ももを含め、足全体を圧迫するのは理にかなっています。ただし、症状や状態によってはふくらはぎの圧迫だけで静脈瘤の改善や進行を予防することができます。ハイソックスタイプは普段使いしやすいので、むくみの状態や生活スタイルに合わせて、ストッキングの形を選ぶことをお勧めしています。